6台の2段ベッドが並べられたやけに天井の高く奥行きのある部屋。
その天井で24時間稼働する扇風機の効果はないに等しい。
クーラーもあるにはあるが、入り口のドアの上に1つだけ。
ドアから一番離れたベッドに届くはずもなく。
東南アジアの熱気に包まれた部屋は暑苦しくてしゃーない。
寝転んでいてもじわじわ汗をかく部屋で眠るに眠れず。
寝返りを打つとミシミシと唸るベッドに気を使いながら。
14日の深夜2時。
イヤホンをしてスマホの画面を凝視する。
その画面にはyoutubeのライブ動画。
今からトランプ大統領の会見が始まるのだ。
会見が始まって早々に全米、すなわちアメリカ全土に対して
「緊急事態宣言」が発令された。
「やっぱりそーなんや。」
予想はしていた。
この世界状況で今、トランプ大統領が口にする言葉なんてわかってた。
それでも聞きたくなかったし、悲しくなった。
「帰国やなぁ。」
ヨーロッパや中東での感染が拡大する中でうすうす気づいてた。
それでもどこかで「そのうち終息してくれるやろ」って。
祈りに近い願望を持っていた。
なぜなら一時帰国した後、再出発までの見通しが一切立たない。
あまりにも先が読めなさすぎる。
そうなると行きたかった場所、やりたかった事に制限がかかってくる。
エベレスト街道トレッキング、インドのチベットラダック高原、カラコルムハイウェイ、パミール高原。
限られた季節にしか訪れられないエリアに、一番いい時期に行ける。
人生の中でそんなチャンスはそう無い。
その先も。。。
なんて考えたところでもうどうしようもないのだけれど。
かずです!
3月18日に急遽一時帰国しました。
理由はもう言わんでもわかると思うんですけどね、ええ、奴のせいですわ。
帰国するための飛行機に乗るまでの半月はめちゃめちゃ2人で悩みました。
めちゃめちゃ悩んでたんは半月やけど、1月からずっと悩みの種ではありました。
1月って出発してすぐやん!って感じなんですけどね。
ほんまに最初から最後まで振り回された感。
ざっとこんなことありましたーってまとめてみたんですけど。
2019年末 |
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武漢の海鮮市場で謎の肺炎発生との報道。 |
ちょうどその頃武漢の手前あたり。 |
2020年1月上旬 |
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香港の地下鉄で武漢での肺炎のニュースが流れていた。 |
万が一を考え、武漢では滞在せず到着翌日に移動することに決める。 |
1月中旬 |
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中国外で感染者が発見される。 |
ベトナムに入国できるか不安になる。 |
1月下旬 |
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ハノイで中国・ベトナム国境での検疫の話をテレビで見かける。 |
ラオスに入国できるか不安になる。 |
2月上旬 |
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中国内はもちろん、世界各国に感染が広がり始める。 |
ラオスの首都ビエンチャンにて宿泊拒否されかける。「NO Chinese!」「中国人は泊めない!」と言われる。 |
2月中旬 |
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ダイヤモンドプリンセス。 |
ベトナムに入国できるか死ぬほど不安になる。 |
2月下旬 |
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感染者が多数発見された国からの渡航制限や入国後の制限をかける国が増え始める。 |
カンボジアに入国できるか…は不安にならず。笑 |
3月上旬 |
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ヨーロッパでの感染爆発。 |
カンボジアからタイへの陸路国境で追い返されたという日本人の話を複数聞く。 |
序盤も序盤から影響を受けまくりで。
正直ラオスの中盤あたりから日々楽しくないなぁと思うことが増えてきて。
その辺りから宿泊拒否になりかけたり、「コロナ」って言われたりし始めて。
ベトナムに入ってからのあからさまに「コロナ」と呼ばれることに疲弊して。
めちゃくちゃイライラして。
わざわざ近寄ってきたり、ケタケタ笑いながら悪意剥き出しで「コロナ」「ウーファン」と言って来る人達が思いの外たくさんいて。
めっちゃむかつくし、ほんまに悲しいし。
現地の人たちからしたら怖いやろな、避けたいやろなって気持ちもわかるし。
今の時期に旅なんてしてる場合じゃないんやろなってのも思ったし。
そもそも観光客なんて来て欲しくないって思っている人たちもいると思うし。
毎日毎日情報収集しながら。
刻々と変わる状況を現地の情報と、人から聞いた話と、ネットと。
どれが正しくてどれが嘘なのかもわからないような話も多くて。
状況が悪化していってることだけが明らかで。
そんな状況でも3月上旬まではバックパッカー、旅人同士で話していたらみんな旅を続けられる前提で話していて。
そこに違和感を感じる自分と、相手と同じ立場でまだ旅できるって思う自分と。
その頃にはすでに帰国するべきかなって気持ちも結構あったから。
もうどないしたらええねんって。
そんな中での冒頭へとつながるわけですけども。
最終的に帰るって決めた。決断の部分はツイートの通りです。
一方でどこかの国で閉じ込められたら?感染したら?その時自分で解決きるん?責任とれるん?ってなったら無理やなって。
— Kazukiki-自転車せかいふたりたび。 (@straycat05k) March 18, 2020
鎖国状態になって物資や医療のキャパが限られた時、一旅行者の自分が現地の人の枠を奪ってしまう。
そんな状況が目の前に迫ってる。
それに気づいたとき帰るほかないなって。
帰ってきたところで日本での感染は増加傾向で。
なんの見通しもたってないんですけど。
どうしようって思いはもちろんあります。
ただね、そもそも自転車で世界を夫婦で旅できてること自体が贅沢やし。
「いつまた出来るやろなー」なんてあまりに贅沢な悩みですしね。
落ち着いてきたらまた、どこからスタートするかは分かりませんが旅立つ予定です。
それまでは今のこの状況やからこそできることを探して日々を過ごしていこうと思っています。
まずは一時帰国までのブログをコツコツと。
コツコツとね。笑
病気、経済、差別。
いろんな面で苦しむ人がたくさん出てしまうのかも知れへんけど。
少しでも、少しでも。
苦しむ人が少なく、早く良い方向に向かっていくことを願うばかりです。
ではでは!
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